不寛容(イントレランス)

作家サントブーブによる逸話に次のようなものがある。昔ある町に賢者がやってきて人々に教えた。「人は寛容でなければならない。隣人を赦せ。不寛容を棄てよ」と。人々はこの言葉にうたれて心から回心し誰もが清く美しい人間となった。ところが後に一人の人が来て教えた。「不寛容であれ。人は寛容であってはならない」と。すると、これを聞いた町中の寛容な人々は怒り狂ってこの男を捕まえ袋叩きにしてついに殺してしまったという。「寛容(トレランス)」には元々失くすとか消すの意味があるという。人前に寛容を誇ろうとする人間程他人の寛容を嫌悪する。自分より多く奉仕する他人を徹底的に敵視し、自分より真実を語る人間をやっかみ憎んで人前で非難する。他人の善行は偽善で自分の行いこそ権威ある。彼の寛容は他者が自分より寛容であることを赦さず、自分より愛ある人間を裁こうとする。

田原吉胡教会(田原吉胡伝道所)

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